農学部だけど一見農学部らしからぬ実習のひとつに
「ものづくり実習」があります。
農学部の3年生の皆さんの履修科目なのですが、
計15回の実習で「ものづくり」に関するさまざまなこと
(プログラミング、製図、機械加工)を学びます。
一見農学部とはかけ離れていそうな内容ですが、
農林業機械、農業設備、農産・食品加工などの分野では
欠かすことのできない要素ばかり。
内容が完全に理工学部寄りなので、
理工学部の施設(高度試作加工センター)や
理工学系の技術職員の方々の力をたくさんお借りして、
毎年行われています。
今年も5月末~先週まで約1か月、
履修する皆さんは毎週農学部を離れ、理工学部に出張して
機械を使った金属加工などの実習を受講していました。
先に結果からお話しすると、
理工学部の技術職員の皆さんの的確な指示と段取りのおかげで、
誰一人ケガ、事故、体調不良に見舞われることなく
無事に今年度の理工学部での実習パートは終了しました。
「ケガ・事故はともかく、どうして体調不良?」
「危険な薬品やガスでも使うの??」
…と疑問に思われた方もいらっしゃるでしょうか。
実は、この実習。
去年は7月、一昨年は7月末~8月中旬までの間(登校禁止期間の影響)という
年間でも一番暑い時期に当たっていました。
写真で見比べてもわかりにくいのですが、
今年2022年↓
この日は6月半ばの「むしろちょっと寒いぞ」くらいの日でした。
上着なし長袖長ズボンくらいが快適。
いっぽう去年2021年7月下旬↓
去年のこの時、センター内の温度計は気温36℃を超えていました。
(もはや体温)
大型の扇風機が風量MAXでフル稼働するも空しく、ただただ吹き付ける温風…。
しかも基本マスク着用(去年の実習・屋内のため)、
屋内だから直射日光は避けられるものの、機械の熱もあり…。
この時こそ体調不良におちいる方はいませんでしたが、
いつ誰かが倒れてもおかしくない環境…。
休憩をこまめに入れるので、所要時間は長くならざるを得ない。
かといって休憩を少なくするのも厳しい…。
学生さんはもちろんのこと、安全に気を配りながら指導するスタッフの体力・判断力も削られます。
なんとかならないものかといろいろ策を練った結果、
今年は従来のやり方を思い切って崩し、授業の内容の順番を大胆に入れ替えて
「とにかく涼しい時期のうちにここでの実習を済ませてしまおう」という作戦に。
授業を統括する先生と実習の現場で動くスタッフさんの素早い決断・対応が光ります。
本来のプログラムとは違う順番で、予備知識が少ない状態での実習になるので
(製図、図面の読み方を学んでから現場…と本来はいきたい)
履修する側にとっては少し負担もあるのかな…と思いきや。
涼しい中で行う実習は、皆さん頭が冴えて集中できるようで
むしろ予備知識のハンデを上回るスムーズさで進みました。
これから、どんどん暑くなっていく6月末~7月。
この約1か月の期間に、この「ものづくり実習」では
パソコンを使った製図の実習を行います。
※2020年の様子です
情報機器がたくさん設置されている情報処理演習室は、
精密な機器を守るためにしっかりした空調設備が整っています。
これなら安心して実習に取り組めますね。
年々変わりつつある日本の気候。
今年も例外ではなく、6月とは思えない暑さを記録している地域もありますね。
学生さんの「学びの機会」をしっかり確保することはもちろん重要ですが、
すべては命、健康があってこそのことです。
この「ものづくり実習」だけでなく、
今後もさまざまな学部学科・科目・授業で、
環境に合わせた対応策がとられていくかもしれません。
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