写真というのは不思議なもので、シャッターを押した瞬間、絶えず流れていく時間からファインダーに映るものだけ切り取って、時間を止めて保存する。そんな力があります。
特に動きの大きなもの、例えば、走ったり踊ったりのように躍動する生物であるとか、流れ落ちる滝のように物理法則に則って動く物体とかが被写体の場合、その「時間を止めた」感がより強く感じられます。
しかし、写真以外にも時間を止めたように感じる事ができる現象があるのです。
このように。
まるで吐水口から水が幾筋も勢いよく流れ出ている。
かのように見えますが、本当は、勢いは皆無。流れ出てもいない。
この形のまま、ここにあるのです。
そう、時が止まったように。
このように朝にはガッツリ凍りついていましたが、しばらくすると高く登った太陽が言うのです。
時は動き出す と。
そして昼にはすっかり時の流れに、その物理法則に乗っかった様相に戻っていました。
・・・と、そう思っていたのです。
ところが。
本来、水は、高いところから低いところへ流れなければならいのです。
このように。
しかし先程の場所では、地面の排水口が冷水で満たされたまま、流れ出ていっていないのです。
どうやらあの先の何処かは、未だ時が止まったままのところがあるようです。