…鶴、ではないのですが、白いアレのお話です。
11月の最後の週、突然教職員に流れたメール。
その名も…
「ダイコン掘りのお誘い」
いや、農学部があって附属農場もあり、なんならキャンパスにも圃場や水田があるような本学では
さして驚くようなことでもないといえばないのですが。
いかんせん、種をまいた覚えも育てた覚えもない農産物。
学内のどこかにいるであろう生産者さんをさしおいて、
おいそれと掘り起こして良いものなのかと。
事の真相を確かめるべく、指定された圃場に向かったところ…
ん?
なんかここ、見覚えが…
どうやら、総合フィード科学実習(※)の圃場のようです。
※農学部1年生前期の必修科目で、班ごとに畑に入り、前期いっぱい野菜を育てて観察しつつ、順次収穫して実食もするという実習。
野菜作りのスキルや植物の生態、スーパーに並ぶ農産物たちを生産する大変さなどを学ぶだけでなく、入学したばかりの皆さんのお友達作りやコミュニケーションにも一役買っていたりも。
あれからもう半年くらい経つんですね…早いものです。
…っと浸っている場合ではなくて、
なぜここにダイコンが
こんなに
小ぶりながらもびっしり育っているのか。
その答えは、総合フィールド科学実習の時の写真のなかにありました。
これはちょうど、6月にダイコンを収穫しているところなのですが…
奥の方に、白っぽい花が咲いています。
これ、実はダイコンの花なんです。
(色は白っぽい青っぽい花なのですが、アブラナ科なので菜の花に形がそっくりです)
この実習では、数年前から新しく
「この地域(東北)での栽培に適さない品種」
「この時期(春)の栽培に適さない品種」
これらをあえて種をまいて育ててみて、
どうなるのか?農場の方が選定した品種と違いが出るのか?
もし違いが出たらなぜそうなったのか?
…というようなことを
皆さんに観察してもらったり
中学高校の理科や生物で習ったことを活かして考えてもらおうという
ちょっとした試みを行っています。
その試みを行っている品目の一つが、ダイコンなのだそうです。
皆さんが無事に収穫したダイコンたちは、農場で選定した品種。
後ろの方で満開に花を咲かせているダイコンの苗は、
東北での栽培に向かない、暖地向けの品種。
この品種は寒い所で育つと、すぐに花を咲かせて種をつけてしまいます。
(春化という現象だそうです)
だからもっと西の方の暖かい地域で栽培されるんですね。
この「すぐに花を咲かせて収穫されなかったダイコンの苗」から
散らばった種たちが、半年の時を経て、こうして図らずもダイコン畑を形成したのだそう。
種が散らばったのがちょうど初夏くらい。
そのころには気温も十分に高いので、花を咲かせずに大根として育ったという事ですね。
しかも、小ぶりのものがほとんどなので
わたしのように限られたスペースでの一人暮らしの人間には
取り回しやすいし保存しやすいしでありがたい限りです。
(ちなみに、すり下ろす時どこからおろしても辛くなかったです)
見渡せば農学部に限らずいろいろな学部学科、部署から
ひっきりなしに皆さんやってきては各々好きなだけ掘って持って帰っていました。
ちなみにこのダイコン、品種名は「エベレスト」。
適地で育てれば、エベレストのように高く大きくなるのでしょうか…?